「ひゃっ…!?」
先技研でいつものように作業をしていたら、急にサイラスが私の首根っこを掴んだ。
「な、何…?」
驚いて振り返ると、何だか呆れたような、困ったような顔。
「お前…昨日はウィルのところに泊まったのか?」
ぱちくりと瞬きひとつ。
確かに昨日はウィルに勉強を見てもらってそのまま泊まったけど…。
「そうだけど?」
私がそう言うと、サイラスははあ、と溜息を吐いてそうかと言った。
訳がわからない。首根っこは掴まれたままだし。
「…お前、今日は髪を下ろしてろ」
そう言って、サイラスは私の髪を一つに纏めていたヘアゴムを取ってしまった。
さらりと零れる私の髪。
夏のこの時期は暑いから上げていたのに。
さすがに研究所の中は涼しいから下ろしてても平気だけど、いきなり何するのよ…!
「ちょっと…!」
「文句ならウィルのやつにでも言うんだな」
訳のわからないことを言って、すたすたと自分の作業に戻ってしまった。
…一体なんなの?
ウィルってば、またサイラスに何かやったのかしら?
わからないけど、ヘアゴムを返してもらえる気配はない。
私は溜息を吐いて作業に戻った。
その『何か』の正体は、家に帰ってから、ルートの溜息とともに知らされた。
END
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先輩が恐ろしく似ませんでしたorz
何だかあやふやな小話ですが、ユノちゃんの首に『虫』さされができていました、というベタなネタで。
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