ちょっと間が空いてしまいました;;
花帰葬、春告げの鳥EDで救こく。
趣味だだもれ。
灰色の壁。
分厚い書物。
…一羽の鷹。
物心ついた時には己の世界はその三つだけだった。
他は知らない。
一応、書物による外の知識、窓から零れる日のひかり、食物などは手に入る。
しかし外に行くことはないため実際に芽吹く緑やレンガ作りの家々を見ることはない。
この境遇を不幸だと思ったことはない。
何故ならそれは"当たり前の世界"だからだ。
当たり前のことを不幸だと思う奴はいないだろう。
そんな世界でいつもの様に本を読み過ごす。
いつもの日常。
いつも通りであるから、扉の外からカツカツと靴音が聞こえた時、脳裏に浮かんだのは一人だけ。
この部屋を訪れるのは一人しかいないからだ。
「黒鷹」
声をかけると同時に扉が開くが、そこから出て来たのは予想していた黒ではない。
鮮やかな、桜色。
ここでは見たことのない色に、息を飲む。
その鮮やかな桜色の髪を持つ青年は、にこりと笑った。
「こんにちは」
挨拶をされたのだから、こちらも挨拶しかえすべきだったが、動揺していた己の口をついたのは、疑問。
「黒鷹は…?」
「黒鷹サンならあの人…白梟の所じゃないかな。まあ、しばらく来ないと思うよ」
尤も、俺がここに来てるって気付いたら飛んでくるかもしれないけど、とどこか楽しそうに続けた。
「君が、『玄冬』?」
「そうだけど…あ」
「そう」
あんたは誰だ、と続けたかった言葉は青年によって遮られた。
「ね、玄冬」
少し不快になったが青年はこちらなどお構いなしに話しかけて来る。
微笑みながらこちらに手を差し出して、楽しそうに…しかし真剣な目で告げた。
「俺と一緒に世界を裏切ってみない?」
END
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中途半端な気がしなくも無いですが終わり。
未来救世主の誰かが、花白と同じような決断をしてくれないかしらという妄想。
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