遥か1イノリ×あかね。
前サイトに上げていたキリリク作品ですた。
ゲロを吐くほど甘いです。まさにだだはじ。
鬼の一族との戦いが終わり、京は平和を取り戻した。
そして月日は流れて、再び春が訪れ…
京を救った神子は、今も俺の傍にいる。
*ずっと一緒に*
「あかねっ!」
「あ、おはようイノリ君」
朝早くの屋敷を駆け抜け、俺は部屋に飛び込んだ。
入りざまの言葉に、声が応える。
声の主は勿論、あかねだった。
いつもと変わらない、優しくて綺麗な笑顔だ。
「今日は早いね。どうしたの?」
別にあかねは何を思って言った訳でもないんだろう。
だけど、穏やかに紡がれるその言葉に、俺は頬が熱くなるのを感じた。
…だって、俺はただ、少しでも早くあかねに会いたかっただけなんだから。
―――こんな時、俺は俺の想いの深さを思い知る。
気持ちが通じてからもう一年近く一緒に過ごしたけど、俺のあかねへの気持ちは少しも霞む事が無い。
寧ろ更に鮮やかになってくみたいだ。
だから、時々不安になる。
思いが深過ぎて怖くなるんだ。
今は傍にいてくれる。
だけど、いつかあかねは俺に幻滅して去って行ってしまうかもしれない。
そんな時、一体俺はどうしたらいい?
この気持ちは何処へ行けばいいんだろう?
「…イノリ君?」
不思議そうなあかねの声に思考が現実に引き戻される。
どうやら心配させてしまったみたいだ。
「大丈夫?」
「あぁ。何でもねぇ。
あ、あのさ…今日どっか行かねぇか?」
「え?」
俺を見上げるあかねの瞳が、少しだけ見開かれた。
こんな表情も、やっぱり可愛い。
ああもう俺、病気みたいだ。
ふと、一年前よりあかねの顔が下に見える事に気付く。
俺、背伸びたんだな。
そう思うと何だかちょっと嬉しかった。
「久しぶりに丸一日休み取れたんだ」
「でも、せっかくの休みなんだよ?休んでた方が…」
あかねの顔が気遣わしげにゆがむ。
…気を使ってくれるのは嬉しいけど、でもやっぱり俺はあかねと一緒がいい。
「いいんだよ。あかねと一緒が良いんだ。
お前がいればいつだって楽しい。
いつだって幸せなんだぜ」
「………」
特に変な事を言ったつもりは無かったんだけど、俺の言葉にあかねの顔がみるみる赤くなった。
それで、自分がどれだけ恥ずかしい事を言ったのかを理解する。
「………」
「………」
気まずい空気が流れる。
何かを言おうと思うんだけど、言葉がまとまらない。
結局、先に口を開いたのはあかねだった。
「と、とにかく行こっか」
「あ、ああ」
(さっきはビックリしたなぁ…イノリ君って時々凄くストレートなんだもん…)
結局。
私達はイノリ君の提案で、花見をすることになった。
ちらりと隣を見れば、いつもの笑顔。
何だかさっきまでの気まずさがまるで夢のようで。
けれど、そういう所もイノリ君らしいと思うし、何より愛しい。
「ねぇ、イノリ君…」
「あ?」
「大好きだよ?」
「…………!」
私の言葉に、今度はイノリ君の顔が真っ赤になった。
それがおかしくて、凄く可愛くて、思わず笑ってしまう。
「何笑ってるんだよ!」
「ご、ごめんね」
「ったく…」
怒ったような口調だけど、顔はまだ赤かった。
その姿はやっぱり可愛くて、愛しい。
「ねぇ、イノリ君」
「何だよ!」
「ずっと一緒にいてね?」
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吐く程甘いか無糖か暗いかのどれかしか書けないという罠。
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